駅の改札のところ。

柱にもたれかかっている孝太郎を見つけた。



10月の末。

夕方の風は少し冷たかった。



「孝太郎」

名前を呼ぶと、こっちを見て柔らかい笑顔を見せる。



最初こそ照れていたものの、今は普通に接してくる。

あの照れた感じと柔らかい笑顔が孝太郎の印象を幼く見せていただけで、慣れてくると孝太郎は「可愛い系」とは少し違った。



「あれ茜さんに似合いそう」

孝太郎がお店に飾ってあった髪飾りを指差す。

淡いピンクのリボン。

「あーゆー可愛いのは、似合わないよ」

あれは陽菜や美咲の色。

「そう?俺はいいと思うけどな」

楽しそうに私の髪にリボンをあわせる孝太郎。