「……孝太郎?」 ふいに人混みの中から孝太郎の名前が呼ばれた。 孝太郎が私の後ろにいる誰かに気付いた。 「唐渡さん」 その名前を聞いたとき、私は息がつまった。 まさか、亮なわけがない。 今まで全然会えなかったのに、こんなところにきるはずが……。 「偶然っすね」 「おう」 でもそれは紛れもなく亮の声で。 信じたくなくて、私は振り向けなかった。 孝太郎と亮が知り合いだったなんて……。