「何やってんだよっ!」 そんな声が聞こえると同時に、男の腕をつかむ力が弱くなる。 「孝太郎……」 「お前、茜に何してんの?」 普段の孝太郎からは想像できないくらいのドス黒い声。 ナンパ男も腰を抜かしてしまった。 「茜はなぁ、お前みたいなヤツが手出していいような女じゃねぇんだよっ!!」 「す、すみません!!!!」 ナンパ男は足早に去っていった。 「大丈夫か?ごめん、もっと早く来てれば…」 孝太郎の息は上がっていて、額に汗もかいていた。 私を見つけて、走ってきてくれたんだ……。