待ち合わせの10分前。
孝太郎はまだ来ていなかった。
私は少しほっとして、近くのベンチに腰掛けた。
いつ言えばいいんだろう、来たらすぐ?
そもそもなんて言うの?
元彼に未練があるから別れてください?
なんてもんもんとする私。
ポンッ
「ねぇ」
ビクッ
突然で驚いてしまった。
「孝た───────」
ろう、じゃなかった。
背の高くて金髪のヤンキー。
「お姉さん1人?俺と一緒にまわらない?」
これは、いわゆるナンパ?
「あの、人を待っているんで……」
「こんな可愛い子を待たせるヤツが悪い。
行こうよ」
腕をつかまれて無理やり立たされる。
痛い。
「やめてくださいっ」
泣きそうになるのを必死に堪える。

