どうしてそんなことしたのかわからない。 けど。 私はカバンからタオルを取り出して、それを差し出していた。 「…………」 彼は私に気付くと、少し考えてからタオルを受け取った。 「ずっといたのか?」 彼の問いかけに、私は首を横に振った。 「そうか」 それだけ言うと、彼は小さく息を吐いた。 「目、赤いよ」 私がそう告げると、彼は片手で顔を覆った。 「忘れろ」