肘の故障のせいで、思うように投げられなくなったあの日から、俺の世界は一転した。

野球が大好きだった。

自分のピッチングに自信があった。

母子家庭で経済的に苦しいのは承知の上で私立高校に入学した。

そこでいい成績を残せば、親孝行できる、そう信じてた。




異変に気付いたのは2年の秋。

先輩が引退した直後のことだった。

その頃はまだ痛みを我慢して投げれば影響はなかった。

けれど。

日に日に痛みは増していった。