「どーした、難しい顔して」

「あぁ、ちょっとな…………雄介!?
 お前どこに行ってたんだよ!」


朝、試合が始まる直前に姿を消した雄介。


「俺のために泣いてくれる子、まだいるんだ」

気づけば、雄介の後ろに美咲ちゃんがいた。

俺は返す言葉が見つからなかった。





「で?」

「………茜が来てたんだ。
 でもアイツ、彼氏と別れたって。
 他に好きなヤツがいるんだって」

「茜と、直接話してないんですか?」

美咲ちゃんが不安そうな表情を向ける。

「え、あぁ。直接は話してない」

美咲ちゃんが肩を落とした。