**亮**


…………茜?

一瞬、茜の姿を見た気がする。

周りを見渡すけれど、人が多すぎる。


「キャプテン、どうかしたんすか?」

「……いや」



もし茜が来てたとしても、彼氏の応援か。




「あ。」

その彼氏と目が合った。

「唐渡さん、負けちゃったんすね」

「あぁ」

「悔しいな。あなたと戦って勝ちたかった。
 茜を奪われた仕返しに」

「は?」

仕返し?

「茜に、会ってないんですか」

「会う理由がないだろ」

大きく見開いた目が俺を捉える。

「俺たち、別れたんですよね。
 茜に、好きな人がいるとかで。
 あ、俺行かないと。失礼します」