「どうして振られたんですか??」
薫さんに言い方はまるで振ったかのような言い方だった。
「五年間付き合ってて、2年前から同棲してたんだけどね、
一ヶ月前にプロポーズされて、でももうその時は死神さんから宣告されてたから、断っちゃったんだ。」
そう悲しそうに遠くを見つめる薫さん
いくら遠くを見ても真っ白な空間だから何も見えない
薫さんはきっと恋人のことを思い出して居るんだろうか
「それで初めて大きな喧嘩をして
なんでプロポーズを拒否したかなんて聞かれても本当の理由なんて言えるはずなくてさ」
思わず自分と重ねてしまった。
状況は全然違うのかもしれないが
本当のことを言えないのは痛いほど共感できた。
「言ったところでペナルティとして、私が死んだ後、その話を忘れちゃうし、いっても意味ないかなって思ったんだよね...それに」
「......それに??」
遠くを見つめていた目がみるみるうちに充血していった。
今にも泣きそうな顔をして
それを隠すかのように上を見つめ深呼吸をした
「私が殺される時、巻き込まれる可能性がありそうで、怖かったの。彼にすべてを話したら、きっと私を守ろうとするから。」
精一杯の笑顔でそう薫さんは言った。
作り笑いと分かっていても俺は何も言わなかった
「本当に好きだったんですね。」
「うん、それはもう世界一!!それで結局思ってもない、彼を傷つけるようなことをいって、振られて、実家に帰ったの」
「後悔したんですか??」
俺が薫さんの立場でもきっと同じことをしたのであろう
............まあ薫さんは前世の俺だから当たり前か

