確か、
水族館の駅の近く。
ただ、ただ走って
やっと見つけた
「いきなり何かと思ったけど、ケーキ屋さん??」
「うん、ガッカリしただろうけど、ケーキ屋さんです。」
普通はペアリングとか、ぬいぐるみとか
そういうのを買ってあげるべきなのは
……分かるんだけどなあ
少し不満気な恵に気づかないふりをしながら
俺たちは黙々とケーキを食べた。
いつのまにかお店の閉店時間に
「…そろそろ帰ろっか。」
「…うん。」
楽しいと帰りがどうしてもセンチメンタルになってしまうのがお決まりで。
手を繋いで電車に乗り込んで
もし、俺が普通に生きていたら
一週間後には忘れてしまうだろうって言うほど
中身のない会話をしていた。
それがけしてつまらないわけではなくて。
今の俺にはそれがなにより大きな幸せで。
恵が今こうして俺の隣で
手を繋いで話してくれてるってことが
何より幸せで
満たされていた。
「…じゃあ今日はありがとうね。楽しかった」
「こちらこそ、ありがとうな」
「うん…」
「…じゃあ。」
背を向けて歩きだそうとした時に
服を掴まれて俺の足は止まった
「幸太君、好きだよ」
言われると嬉しいはずの言葉が。
何故こんなにも悲しくて辛くて罪悪感に胸がいっぱいになってしまうんだろう。
何故だか分かれば分かる程
自分の今の状況を恨みたくなる。
「…ありがとう」
好きだよなんて
愛してるなんて言ってしまったら
今この場で泣いて
死にたくないって縋って
めぐみを困らして
きっと恵も泣いてしまう
だから。
好きなんて
言わない。

