「来年はペアリングでも買って喜ばしてあげなさい」
“来年”
その言葉で一瞬にして
気分がダウンした
「...とりあえず、遅れちゃうから行くよ。」
「そう、気をつけてね」
「うん。」
「...いってきます。」
エレベーターのない、安い四階建てマンションに住んでいて、
俺らは三階に住んでいた
俺は長いようで短い階段を下り
歩いてめぐみの家に向かう。
ふとマンションを見てみると
ベランダから母さんは俺を見ていた。
いつもそうだ。
仕事がないときは
俺や弟が出かけるときは見えなくなるまでベランダから顔を出す
なぜそんなことをするかはずっと謎だったけど
いつも、小さい頃からなぜか
ベランダから顔を出す母さんが好きだった。
大袈裟に大きく母さんに手を振って
恵の家に向かった。

