最高寿命二週間の生活記録



「自分の欲に素直になりなさい。
これから彼女は何十年と生きていくのだろう?
幸太といた何年かは彼女の人生の中の一瞬でしかないんだ。
だから、いつか時間が経てば嫌でも人の中の記憶は薄れていってしまうんだよ、だから、うだうだ言ってないで、素直になりなさい」


なぜこんなにもこの人の言葉は真っ直ぐでグッと胸に突き刺さるんだろう

ああ、確かになって思ってしまう


「...そのとおりですね」


「まあ、明後日辺りにまた電話してもいいかい?結果を聞きたいし」


「あ、はい。すみません、夜分遅くに」

俺は電話だというのに平謝りした


「いやいや、全然平気だよ、じゃあ、また今度。」



「はい」



ーープチッ


俺は軽いため息をして、
冷えた缶コーヒーを一気に飲み
公園を出て自転車に乗って家に向かった



恵と付き合ったのは
もう三年も前のことで
俺の中の人生の割合だと
18分の3で
約分すると
6分の1




けど、恵はこれから何十年も生きていく
それでこの約三年間は
何十分の一になるんだろうか