「ひなの、本当に何か心当たりないの?さっき気づいたんだけど、ひなの今日スリッパだし…、上履きは?」
「んー…下駄箱に一足しかなかったから、今日は職員室から借りたの」
お弁当の卵焼きをつつきながらそう言うと、三人とも顔つきがガラリと変わった
「ほ、他には?他には何かあった?」
慌てたように綿子ちゃんが聞いてきたので、わたしはなんとなく
「英語と現国の教科書がなくなってたの。たぶん家に置き忘れてるって可能性があると思うんだけど…」
その言葉を言い終わらないうちに、目の前に座っていた華南ちゃんがいきなり立ち上がった
「やっぱりそうだよ。さっきは確信がなかったから言わなかったけど、ひなの、あんたたぶん誰かにちょっかい出されてるよ」
「へっ?それってどういう…?」
「だから、誰かがあんたをいじめているってことよ」
「…はっ?」
あまりにも突拍子もない発言だったので、箸でつまんでいたアスパラのベーコン巻がぽとりと弁当箱の中に舞い落ちた
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