くすぐったくて手を耳に当て、顔を上げると、目の前にはこんな状況に現れるあまりいい子ではない沢城くんが悪戯っ子みたいに口元を微笑ませていた
「ねぇ、先輩?ご褒美、ちゃんとくれますよね?」
「うぅぅぅ~…」
なんでいつもこんな風になってしまうのか?!
やっぱりあの時、胸が少し痛んだくらいでご褒美をあげるなんて言わなきゃよかったぁぁと本当に後悔したが、それでこの状況から逃げられるというわけではないので、わたしは渋々観念することにした
「わかったよぉ、ちゃんと口にキスするから…」
「お願いしますよ?」
そう言って、もう一度目を閉じた沢城くんにわたしはもう一度近づいた
大丈夫、さっき頬にキスしたように、軽くちゅっと音が出るくらいのかるーいキスをすればいいんだから…
でもやっぱり頬にキスするときとは比べ物にならないぐらい胸の鼓動が加速して、中々行動に移すことが出来ない
唇まであと数ミリってとこまで頑張れたのだがここから前に進まない
どうしよう、もぉぉぉ軽くキスするだけでこの状況から逃げられるのに、なんで出来ないのかな!?わたし!!
もう自棄だ!!えい!!

