そのあと、試合に向かう沢城くんの背中を眺めていると、後ろから何人もの人にからかわれた




「いやぁ…、熱々ですな」




「い、一紀ちゃんまで!」




本当に沢城くんはわからない




なんであんなに大勢の人の前で何の躊躇いもなくあんなこと言えるかな?




沢城くんのクラスが優勝したらそれは嬉しいんだけど、それでご褒美にわたしからキスって…




本当にそんなものでいいんですか?




いや、それでもしそれ以上のことを求められても、応えられる気がまるでないので、キスでよかったのかもしれない




うぅぅっ…、あの時はもういっぱいいっぱいでどんな返事をすればいいのかわからずつい承諾してしまった




わたしはたった今、行われている試合の中、沢城くんの姿をとらえる




…やっぱり、沢城くんかっこいいなぁ…




普段の沢城くんももちろん美少年でキラキラしているが、スポーツで汗を流す沢城くんはもっとキラキラしていて、目の前にそんな彼が現れたときは思わず見惚れてしまった




試合中も勝敗なんてまったくわからずずーっと沢城くんを見ていると、いつのまにか準決勝が終了していて、決勝の試合が既に始まっていた