『…俺、先輩からキスして欲しいです』




沢城くんが突然、そんなことを言うもんだから、今も顔がまだ熱い






今日は球技大会で、わたしはソフトボールに出たんだけど初戦から女子ソフトボール部のエースがいるクラスと当たってしまい、わたしたちのクラスは見事初戦敗退




どう考えても自分が足を引っ張ったというのに、チームメイトのみんなはそこまで勝敗にこだわっていなかったらしく、よしよーしと何度も頭を撫でられ、慰められた




わたしはこれ以外の競技に出ていないので、さっきまでは一紀ちゃんが出ている女子バレーボールの試合を見ていたんだけど、そちらも3回戦で負けてしまった




やることがないねーって一紀ちゃんと話していたら、わたしは不意に沢城くんのことが頭に浮かんだ




実は気のせいだと思うんだけど、ソフトボールの試合中に沢城くんを見た気がして、それを一紀ちゃんに話すとあぁー、やっぱり来てたかと納得し、それだったら沢城くんの試合を観に行こうってことになり、男子バスケの行われている第2体育館に向かったのだが




すっごい観客で、これじゃあ試合見えないなぁと諦めたが、人だかりに入る気満々の一紀ちゃんに手を引かれ、なんとか前に出ると、そこには悪戦苦闘している沢城くんの姿があって




とりあえず応援しなきゃと他の歓声に紛れながら沢城くんを応援していると、沢城くんは見事ゴールを決め、チームを勝利へと導いた




どうやら沢城くんはとてつもなく凄いシュートをしたらしく、スポーツ観戦大好きな一紀ちゃんのさっきのシュートに対しての熱弁を聞いてると、沢城くんがいきなり目の前に現れ、そしてあの状況です