「先輩、もし俺のクラスがバスケで優勝したら、ご褒美もらえませんか?」




何を言われたのか暫くわからなかったのかひなの先輩はキョトンと首を傾がせ、そして意味が分かった途端見る見るうちに顔を赤らめていく




「ご、ご褒美って…?」




「…俺、先輩からキスして欲しいです」




そう言うと、周りがドッと騒ぎ出す




目の前で起こるイベントに野次を飛ばすやつも出てきたが、大体はこの状況を楽しんでいるようなそんな野次だった




そして先輩がどのような返事をするのかに注目され、その視線で顔を真っ赤にさせた小さい先輩がますます縮こまる





後ろからの聞こえていたはずの新庄の声もどうやら空気を読んだらしく、聞こえてこない





完全に体育館全体が先輩の返答待ちで、静まり返ったころ、顔を俯かせてしまった先輩が小さく頷き、




「が、頑張ります…」




と小さな声で呟いたのが聞こえ、その瞬間、先輩の声が聞こえなくなるほどの喝采が体育館中から響く




頑張りますって、ご褒美貰うために頑張るのはこっちだって言うのに…、きっと頭の中で色々混乱してやっと出てきた答えなんだなと思うと、自然に笑みがこぼれた





よしっ、それじゃあいっちょやりますか





「じゃあ先輩、しっかり俺を見ていてくださいね。絶対に勝ちますから」





そう宣言し、俺はコートへ戻ろうと、背中を向けると





「が…頑張ってね!」




先輩から精一杯のエールが送られてきて、もう一度後ろを振り向くと





「ちゃ、ちゃんと、沢城くんのこと、見てるから…」





顔は真っ赤なくせして、目はしっかりと俺を見てくるので、思わずドキッとする




あぁ~…やっぱり先輩可愛いなぁ…




本当はこのまま連れ去ってしまいたいが、先輩に宣言してしまったのだ、俺は今回のバスケで優勝し、ひなの先輩にご褒美をもらう




それはそれでアリだな




とんでもなく幸せな気分でチームメイトたちの元に戻ると





『一人で勝手に青春してるんじゃねぇーぞ、この野郎!!』





何故か全員に強く背中を叩かれた、もちろん全員そのあとに殴り返したがな