「えっ、さ、沢城くん…?」
ひなの先輩はもちろん、俺が突然ここにいることに驚いたのか、周りのやつらもざわざわと騒ぎ出した
「先輩、見に来てくれたんですね」
「う、うん。クラスの友達から沢城くんがこの試合に出てるって聞いたから、それに…」
口を閉ざし、急にもじもじとし始めたひなの先輩は佐久間先輩に背中を押され、意を決するように顔を真っ赤にして口を開く
「気のせいだったらごめんなんだけど、沢城くんも試合に見に来てくれたような気がして…」
その瞬間、胸のあたりがかつてないぐらいにぎゅーっと締め付けられた
やっぱり気のせいじゃなかった
あの時、ひなの先輩にちゃんと俺の気持ちが伝わっていたんだ
どうしよう、今すっごく先輩を抱きしめたいのだが、後ろから次の試合が始まるので早くしろという新庄の声が聞こえてくるし、周りの視線も痛い
俺は別に今、ここでしても構わないんだが、ひなの先輩は絶対にそれを嫌がる
だから俺は先輩に尋ねる