『キス』というキーワードを聞いた瞬間、一気に顔が熱くなるのが感じられた
「な…ななななな?!」
なんでいきなりそうなった!?と聞きたいが、動揺しすぎて口がうまく動かない
そんなわたしに説明するかのように、沢城くんはわたしの頬を撫でながら囁く
「だって、今先輩の顔、あまり見えないから、だから…」
やっぱり沢城くんは『だから』の使い方を間違えている
わたしの顔が見えないないからってそれでキスをする必要がわからない
それに顔が見えないなら、眼鏡をかければいい話なのに、なんでそうなる!?
頭の中が大パニックしている中、沢城くんはわたしの髪を撫ではじめた
「ねぇ…ダメ、ですか?」
上目づかいでそう聞かれ、ますますわたしは混乱していく
でももし、わたしがここで断ってしまったら、沢城くんはガッカリしてしまうのだろうか?
一紀ちゃんは沢城くんは下心の塊だから気を付けろと言ってたけど、やっぱりちゃんとわたしに聞いてきて、承諾を得るまで何もしてこないあたり、ちゃんとわたしのことを考えてくれてる

