その瞬間、手首をガシッと捕まれる




「…沢城くん?」




吃驚して視線を沢城くんに向けると、いつになく真剣な眼差しにわたしを見てくるもんだから、心臓が激しく高鳴り始めた




視線を逸らしたくてもあまりにも強くわたしを見つめるものだから、その瞳に吸い寄せられてなのか、沢城くんから目が離せない




後退りしたくても、いつのまにか沢城くんの手がわたしの背中に回っているので、動けない




ま、またこの状況に陥ってしまった…




で、でも沢城くんは前みたいに無理やりなことはもうしないって…しないって…




「ひゃっ…」




突然沢城くんの手がわたしの頬に触れる




しないって言ってたじゃん!!もぉぉぉぉ!!




心臓をバクバクいわせながら、沢城くんに怒りを覚えるも、この状況から逃れられることはない




わたしの頬を壊れ物のようにそっと大事そうに撫でると、沢城くん耳元で一言




「キスしてもいいですか…?先輩」