沢城くんを起こさないようにそっと眼鏡を取る
ドキドキしながら様子を窺うが、沢城くんはどうやら夢の中らしく、まだ寝息をたてていた
とりあえずホッとしたわたしは眼鏡を机の上に置き、本に視線を戻したが
ここでまた少しだけ好奇心に駆り立てられた
幼いころから人より倍の数の本を読んできたというの、わたしは視力が一向に落ちないのが自慢である
だから眼鏡というものをかけたことが生まれてきてから17年間、一度もない
視力が悪く、今はコンタクトの一紀ちゃんは眼鏡があまり好きじゃないらしく、いいものじゃないよーというか、一度ぐらいはかけてみたい
机に置いた眼鏡を再度手に取り、わたしはおそるおそる眼鏡を自分の耳にかけてみた
「うわっ!」
かけた瞬間、吃驚
とてもチカチカしていて、すごくぼやけているのでまったく何も見えない
だがこれがレンズ越しに見える景色かと思い、少しだけ楽しんでいると
「…んー…」