「あっ…えっと…」
どうにかして断る理由を探していると、隣にいた一紀ちゃんがちょんちょんと肩をつついてきた
「何?」
「あんた、こんな美少年と付き合えるチャンスなんてこれからあるわけないんだから、付き合っちゃいなよ」
「え、えぇ…!?」
なんてことを言うのだ、一紀ちゃんよ
「どうせ今、好きな人いないでしょう?だったら記念として彼と付き合ってみるのも一つの経験よ」
「だ、ダメだよ。そんな不誠実な理由でお付き合いなんかしちゃ…」
「俺は別に構いませんよ」
わたしたちの会話が聞こえていたのか、沢城くんは信じられない言葉を放つ
「もし、それで先輩と付き合えるんだったら、俺はそれでも構いません」
「ひゅー、いい男は考えることも違うね。彼もああ言ってることだし、付き合っちゃいなよ、ひなの」
完全に面白がっている一紀ちゃんを睨みながらも、そんなことまでしてわたしと付き合いたい沢城くんに少し申し訳ない気がしてきた

