「…あの?」




「あっ、すみません。その、まさか自分が猫に負けていたなんて思っていなかったので、つい…」




「はぁ…」




なので一紀ちゃんに有名な人だと教えてもらっても、やっぱり彼は知らない人だ





「もし先輩が俺を知らないと言うのだったら、今ここで自己紹介しても構いません」




「えっ、いや、その…」




「俺は沢城昴流と言います。一週間前にここの高校を入学したばかりなので先輩より歳は一つ下です」




「はぁ…」




ずっと『先輩』と呼ばれていたから後輩だとは思っていたけど、最近の子は成長が早いんだね、羨ましいぐらいすらっとした脚のおかげでわたしは彼を見上げなければいけない





「とりあえず自己紹介しましたので、これで先輩も俺のこと知ってくれましたよね?」




「は、はい…えっと、さわ…しろくん?」




「はい。だから、俺と付き合ってください」





『だから』の意味がわからない