「もし先輩が強引な方がいいと言うのなら、そっちでも俺は別に構いませんよ?」
「!?えっ…いや…」
「嫌じゃなかったですもんね?」
完全に退路を潰されたわたしはまるで罠にまんまと嵌った鼠のようだ
あれっ…?沢城くんはいい子?
いい子…のはずだよね…?
沢城くんが急に上半身を屈ませ、さっきまで少し上だった綺麗な顔が目の前にある
危機感を察知したわたしはなんとか逃げようとしたが、右手ががっちりと握られ、どんなに強く引っ張っても振りほどけない
徐々に近づいてくる綺麗な顔にドキドキさせながらも、必死にこの場から逃れようとする焦燥感が胸の中で暴れだす
お互いの唇が触れるまであと1㎝のところでもう逃げ切れないと諦めたわたしがぎゅっとまぶたを強く瞑ると
「…なぁ~んて、しませんよ」
「…へっ?」

