すると頭を下げていた沢城くんが顔を上げ、そこには嬉しそうに笑顔になっていく彼がいた
その姿にほっとしたのもつかの間、わたしには違う問題が残されていた
「それじゃあ、俺と手繋いでくれてもいいってことですよね」
「…ん?」
そうだった忘れていた
わたしはさっきから沢城くんにそれを要求されていたのであった
図書館のあの出来事が嫌ではないと言った手前、断りにくい
わたしは渋々手を取り出し、それに快諾した姿勢を見せると、沢城くんは何の躊躇いもなくわたしの手を握り、指を絡めてきた
って
「えっ?!な、何?こ、この握り方…」
「あれ?もしかして初めてですか、恋人繋ぎ」
「こっ!!」
恋人繋ぎ?!
これがあの噂の、付き合っている男女の間でしか出来ない、お互いの指と指を絡ませながら繋ぐ…あの?!

