だってこの間のあの図書館の一件で相当大胆なことをわたしの断りもなく強引にやってのけた彼なのだから、手を繋ぐときもきっと無理やりなんだろうなと思ってたけど
差し出されている手を凝視していると、沢城くんはまた聞いてきた
「あの…嫌ですか?」
「えっ…ううん、そんなんじゃなくて、ただ…」
「…ただ?」
「その…こ、この間のことがあったからちょっと吃驚しちゃって…まさか手を繋ぐことを聞かれるとは思わなかったから…」
そう言うと、沢城くんの動きが止まる
するとバツが悪そうに顔を歪ませ、そして言い難そうに一言
「だから…聞いたんです」
「…ん?」
「あの時は少し羽目を外し過ぎてしまって、気づいたら先輩、目にいっぱい涙を溜めてたので、その…本当にすいませんでした」
急に頭を下げられたので慌てて意味もなく手を振り続ける
「そ、そんなしゃ、謝罪とかしなくても…そ、それにその…び、吃驚はしたけど…い、嫌ってわけじゃ…なかったし…」
道中でこんな大胆なこと言ってること自体恥ずかしいのに、またあのことを思い出してしまい、顔が赤くなっていくのかがわかる
…あんなことをされて最初は本当に驚いたが、思い出すたびに胸がドキドキして、恥ずかしくもなったりするが、不思議と嫌な気分にはならなかった

