沢城くんは甘い





「クレープですけど…」




「クレープなんて売ってるんだね」




「あれっ?先輩、午前中に文化祭回るんじゃなかったんですか?」




「いやぁ…、それがわたしのクラス、お化け屋敷でしょう?それで張り切った一紀ちゃんが問題を起こして…」




先輩はその先は言わなかったが、大体想像はつく




この間のハロウィーンの悪戯で何人か気絶させていたから、たぶん今回もそんな感じだろう




「それで色々と予定が狂っちゃって…全然遊べてないんだよねー…」




あははと困ったように笑うひなの先輩の視線はばっちりとクレープを捉えている




今までにないぐらい物欲しそうな目でクレープを見てくるので、少しだけむっとしてしまう




俺にはそんな視線、一度も向けてくれないのに…




食べ物にまで嫉妬してしまうとは思わなかったが、いや、うん、だって…




俺は先輩に会いたくて会いたくて堪らなかったのに、先輩は今はもうクレープに夢中というか、既に俺が眼中にない状態でしょう




まだ先輩の一番になりきれてない感がすごいして、胸が痛くなる