沢城くんの姿が見えなくなるなり、クラスメートの女生徒たちに羨ましいーと言われたり、アツアツだねーとからかわれたりもしたが、わたしの頭の中は既に今日の放課後のことでいっぱいだった





沢城くん…今回はいったい何をしでかすつもりなんですか?




そして図書室の出来事が脳裏に浮かんできてしまい、誰にも赤くなった顔を見せまいとわたしはトイレへと駆け込んだ







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そして訪れてしまった放課後




本来ならば一紀ちゃんと少しだけお喋りをしてから家路につくのだが、最後の授業終了のチャイムが鳴るとすぐに沢城くんのお迎えが待っていた




一紀ちゃんはそんな彼を見て、まるでリードを咥えてご主人様を待っている小犬のようねと言っていたが、それはあまりにも失礼過ぎる!!




それに彼は小犬なんかではなく、たぶんだと思うけど大型犬、しかも洋画とかに出てくる綺麗な毛並みをしたゴールデンレトリバーのような…ってダメだ




一紀ちゃんがあんなことを言うから、ついわたしも要らぬ想像をしてしまった




一紀ちゃんとその他の友達にお別れを告げ、沢城くんの元へと向かうと、眩しい微笑みで『それじゃあ行きましょうか』と昇降口に向かうために歩き始めた




やはり沢城くんは相当な有名人らしくすれ違う人(主に女子)のほとんどが振り返る