こんな状態のまま昇降口へと向かう途中
「佐久間、みぃーーつけた」
後ろからやけに低い声が聞こえたと同時に、隣の一紀ちゃんが急に止まった
一紀ちゃんはちっと舌打ちを打つ
「見つかちゃっ…いででで。頭掴むな、みぞーち!!」
「ちょこまかと逃げよって…こっちこい、馬鹿!!」
剣幕な表情を浮かべている教育指導の溝落先生は一紀ちゃんの頭を鷲掴みし、そのまま一紀ちゃんを連れ去って行った
突然のこと過ぎて、一瞬何が起こったかわからなかったが
そういえば、一紀ちゃん、今日の放課後は溝落先生に追い掛け回されてたなぁ…
まだ逃げてたんだ…
とうとう捕まってしまった一紀ちゃんと溝落先生の後姿を眺めていると、わたしははたと気付く
一紀ちゃんがいなくなった今、わたしは沢城くんと二人…
隣を見ると、いつのまにか距離を詰めてきていた沢城くんがいて、わたしはそそと沢城くんから離れる

