それどころか、どうせ沢城くんはわたしに変な悪戯しようと企んでいても、わたしにはちゃーんとお菓子があるから、大丈夫とまで考えていた





それぐらいわたしはハロウィーンに浮かれていたのだ




沢城くんの『トリックオアトリート』に対してのお菓子の準備は出来た




さぁ、来るがよい!!




悪戯なんてされないんだから




準備万端で沢城くんのその言葉を待っていると、ゆっくりと焦らした後、沢城くんは口を開けた






「先輩、トリック゛アンド゛トリートです」




「よしきた!!はい、おか…ん?」





さっき沢城くん゛オア゛じゃなくて゛アンド゛って言った?




それってお菓子くれなきゃ悪戯するぞ!じゃなくて、お菓子も悪戯もどっちも欲しいって意味…じゃっ





「ひゃっ…!」





気付いたときにはもう手遅れで、沢城くんの冷たい手がわたしの頬に触れる