沢城くんは甘い





ひなのが二人を呼び止める




まだ何かあるのかという表情で振り向いてきた二人だが、今度は何も文句は言わずに、素直に立ち止まる





「あの…その、わたしが言えることじゃないんですけど、これからは自分の好きな人をもっと大切にしてあげてください!!そうじゃないと…苦しいのは自分ですから」




そう言ったひなのは俯きがちに下を向いていた




まるで自分のことを言ってるみたいだ




すると、さっきまで黙っていた沢城のことが好きな、一人がボソリ





「…色々、悪かったね」




と呟き、そのまま校舎へと戻って行った




…ひなの




あんたって子は本当に、本当にどうしようもないくらいお人よしなんだね




結局は自分に危害を与えた相手にまで優しいんだから、本当に




全てが終わり、ホッと一安心したわたしはそろそろ教室に戻って掃除の続きをしなきゃと校舎に戻ろうとすると




ペタンっ





ひなのが力が抜けたように地面に座り込む光景が目に入った