沢城くんは甘い






「ずっと…ずっと見てきてたのに…。なのに、なんであんたなのよぉ…」




心の中でずっと溜めてきた想いが一気に爆発したのか、振り絞るように出されたその言葉はあまりにも弱弱しかった




隣にいたそいつの友人は背中を軽く叩きながら、そいつを宥めていた




…やっぱ、こういうのって大体同じパターンなんだよね




本気になっているのは大体一人で、他のやつらはそいつに同調しているっていうか、まるでその想いに寄り添うように一緒にいる




中学のときもそうだった




本気になっているのは彼氏に振られた奴だけで、他は全員そいつを憐れんでるのか、それとも怒っていたのか、まったく関係ないやつばかり




素晴らしき友情




だけど、どんな理由があってもそれでいじめを正当化することはできない




どんなに沢城を想っていようが、どんなに泣いたって、加害者には変わらない




ひなのに手を出した時点で、あいつらはずっと加害者なのだ





「…あの、やっぱり先輩は沢城くんに謝るべきなんだと思います」




「あんた、この状況に及んでまだそんなこと…」




既に泣き崩れてしまった一人を抱えていたもう片方が、ひなのを睨む