「だから!!それがむかつくんだよ!!」
その瞬間、ひなのの小さな体が突き飛ばされた
押された力が強かったのが、ひなのは数メートル後ろまで飛び、そのまま地面へと尻餅をつく
ひなのが突き飛ばされた瞬間、すぐにでも飛び出したかったが、その気持ちをぐっと堪える
ダメだ、これはあの子が自分で決めた結果だ
ここでわたしは出る幕じゃないんだ
変わろうとしているあの子に、手を差し伸べてはいけない
「なんで…なんであんたなのよ…。特別可愛いわけでも、美人ってわけでもない、なのになんであんたが沢城くんの隣にいるのよ!!」
「稜!これ以上、ダメだって!!」
いまにでもひなのに襲い掛かりそうな勢いのそいつをもう一人の女生徒が必死に止める
突き飛ばされたひなのはそれでも真っ直ぐそいつのことだけを見ていた
「…沢城くんのこと、本当に好きなんですね」
その言葉がきっかけだったのか、さっきまで殺気立っていた女が、みるみるうちに顔を歪ませ、そして大粒の涙を流し始めた

