「先輩はよく頑張りました。だから、もういいんです。泣いても、いいんですよ」




子供をあやす様に頭を撫でられ、また涙がボロボロ流れる




全てを見透かされたようだった





怖かった、怖くないはずがなかった




あの日、上履きがなくなっていた時から、ずっと気を張っていた




そうでもしないと、弱音をこぼしてしまう




泣いてしまう




ぐっと堪えてきていたのに、沢城くんの言葉一つでこんなにもあっさりと緊張の糸がほぐれてしまった




でも、もういいんだ




わたしはもう泣いてもいいんだ





その日、わたしは久しぶりに子供のように泣き喚いた




沢城くんはわたしが泣き止むまでずっと頭を撫でていてくれて、制服が涙でぐちゃぐちゃに濡れても、笑ってくれた




やっぱり沢城くんは優しい、いい子だった




そんな沢城くんをわたしはとっても好きだ




これからも沢城くんの傍にいたい




だから、これからも彼の傍にいられるように、わたしは強くならなければ