その言葉には聞き覚えがあった




そして同時に思い出したのだ




わたしはどうして嘘をついていたのか




沢城くんが傷つくからとか、そんな理由ではなかった




わたしが嘘を吐いたのは自分のためだった




わたしが最も恐れていたのは、それは沢城くんが自分から離れていくことだった




やっと思い出した




数年前、わたしは今回と同じ理由で一紀ちゃんに嘘を吐いた




幼いころからわたしを守ってくれる一紀ちゃん




幼稚園の頃、遠足で迷子になった時も、小学校、男子生徒に体育倉庫に閉じ込められたときも見つけ出して、守ってくれた一紀ちゃん




わたしは一紀ちゃんが大好きだから、だから彼女がわたしに愛想をつかせてしまうんではないかととても恐ろしかった




一紀ちゃんはわたしと違って人気者で、明るくて、いつも周りにはたくさんの人がいた




わたしはそんな一紀ちゃんの友人の中の一人でしかなくて、いつもイジメの標的になってしまうわたしが一紀ちゃんにとってめんどくさいものになってしまうのが怖かった




だからわたしは嘘を吐いた