言えないよ
沢城くんには言えなかった
だってもし自分が原因だって知ったら傷つくでしょう?
わたしが弱いせいで、何もしていない沢城くんが胸を痛めるのが嫌だった
だからわたしは嘘を吐いたの
「…嘘をついていたことは謝るよ。でも、本当に沢城くんには関係がなか…」
「関係なくない!!」
部屋中に響き渡るぐらいの大声を上げた後、沢城くんはわたしの体を抱き締めた
乱暴に抱き寄せられたのけれど、背中に回っている手は震えている
「…先輩は俺のこと、嫌いなんですか?」
「えっ?!そんなことないよ!」
いきなり変なことを聞いてくる沢城くんにわたしは全力で首を振った
嫌いじゃないよ、嫌いじゃないよ
でも、沢城くんへの想いがいったい何なのかもわたしは未だによくわかっていなかった

