そこでわたしは思い出す




そうだ、わたし確か誰かに階段から突き飛ばされて…




わたしは不意に自分の左手が誰かに握られていることに気付いた




視線を下に向けると、上半身をベットにうつ伏せながらスヤスヤと寝息を立てている沢城くんの姿が映る





「…そいつ、今日は授業にも出ずにずっと園宮の傍にいたんだ」




「ずっと…?」




「そう、ずっと。さっきまで不安そうに早くあんたが目を醒ますのを必死に祈ってたよ」




それを聞いたわたしは胸の奥がきゅっと締まる音が聞こえた




…沢城くん




寝ちゃったてことは、相当疲れちゃったんだね




起こさないようにそっと沢城くんの頭を撫でる




沢城くんの薄い栗色の茶髪は思っている以上にふわふわで少しだけ心地よかった





「で、結局のとこ、何があったんだ?沢城も事情を知らないようだし…」




宮森先生の突然の質問にわたしは口を閉ざす