「いい?ひなのはねぇ、こういう時何があっても絶対に自分から口を開こうとしない。だけど、隠し事をしてるってことはすぐにわかるんだから、少しでもひなのの異変に気付いたんだったら、あんたから動き出さなきゃいけないの。そうじゃなきゃ、こんな事態になるんだから。もしこんなの二度とごめんだって思うんだったら、ひなのの『大丈夫』を信じちゃダメ!!この子は絶対に嘘を吐く。覚えておくことね」




「…はい」





佐久間先輩の勢いについ負けてしまい返事をしてしまったが、彼女の言うとおりだった




今回の件でよくわかった




ひなの先輩は自分が大変な時にこそ嘘を吐く




俺の返事が聞けたことに満足したのか、ふーっと息を吐いた佐久間先輩は背筋を伸ばした




「…今はまだわたしが一緒にいてあげられるけど、今回みたいにわたしがいないとき、ひなののことを任せられるのはあんたしかいないんだから、本当に頼んだわよ」




同じところをまた殴られたが、今回のはさっきのより全然力が入っていなかった




さっきのは精一杯の強がりだったのか、今はまた心配そうな眼差しでひなの先輩の頭を撫でている




ひなの先輩はまだ意識が戻らない




ひなの先輩




ひなの先輩





俺、頑張ってひなの先輩が何でも自分で背負い込まないような頼りがいのある男になってみせます




だから早く目を醒ましてください




目を醒まして、いつもののほほんとした笑顔を俺に見せてください




ひなの先輩




俺は先輩の小さな手をぎゅっと握った