この人もひなの先輩が大切で、ひなの先輩がもう二度とこんなことにならないようにずっと傍で守ってきた
なのに俺は…
自分がますます情けなくなり、顔を俯かせていると、突然横っ腹に激痛が走った
いったい何事かと視線を向けると、さっきまで完全に泣きモードに入っていたはずの佐久間先輩の拳が俺の横っ腹にクリーンヒットしていた
「いっ!!」
あまりの痛さに腹を抱え込むと、頭上から風邪のせいでいつもより低い佐久間先輩の声が降り注いできた
「だから、これからはあんたがひなのを守っていかなきゃいけないのよ。沢城!!」
「…え?」
「どうせあんた、『自分のせいでひなの先輩が…』とかそんなくっだらないことで落ち込んでいるんだろうけど」
くだらない
まさかの俺のさっきまでの葛藤を『くだらない』という一言で片づけられた
「そんな暇があるんだったら、少しはひなのが自分で何でも抱え込まないように出来るようなスマートで頼りがいのある男になってみせなさいよ!!」