少しだけ痛むおでこを摩っていると、華南ちゃんが真剣な表情を向けてきた
「これはあんたのことなんだよ、ひなの」
「そう言われましても…」
今まで、あまりにも恋沙汰というものとは縁が遠かったからかな?
なんか現実味がないというか、自分のことではないような気がしてきた
「現に今、ひなのものを隠されるわ、水はかけられるわ、最後にはこの紙切れ…。気を付けた方がいいよ、ひな」
綿子ちゃんもいつもとは少し雰囲気が違う
「女の嫉妬は怖いからね…、これからもっと嫌がらせがエスカレートする可能性もなくはない」
咲綾ちゃんはよしよしとわたしの頭を撫でる、意味がわなからないが
みなさん、何かとっても深刻そうなのに、何故か当事者本人のわたしは意外にもこのことをあまり深くは考えていなかった
だって、モノを隠されたって言っても特に困らなかったし
水をかけられてもジャージに着替えればいいし
この紙切れの文字だって最初は吃驚してしまったけど、今思えばこれはただの文字
少しも怖いことではなかった

