沢城くんは甘い





結局、そのあとお昼休みのチャイムが鳴るまで華南ちゃんたちはずっと誰が犯人なのかと議論していたが、答えは得られず




わたしは何度も違うと思うと主張しても、聞いてももらえない




「…はぁ」




「ひなー、行くよー」




「あ、待って」




お昼休みの後は移動教室なので、急いでお弁当を鞄の中に入れ、授業に必要なものを持ち教室から出ようとすると




「いっ!」




急に誰かがぶつかってきた




ぶつかってきたせいでよろめいてしまったが、綿子ちゃんがわたしの体を支えてくれたので、なんとか尻餅をつかずに済んだ




ほっと胸を撫で下ろすと、頭上から誰かが舌打ちを打つ音が聞こえ、上を見上げると、見た目が派手な見慣れない女子生徒が二人いた




「気を付けろよな」




そのうちの一人が睨んできて、ドスの効かせた低い声でそう言ってきたので、わたしは頭を下げた




「す、すいませんでした…」




顔を上げると既に彼女らは行ってしまったらしく、二人の後姿だけが見える