【完】『いつか、きっと』

厳粛に式は始まった。

エレクトーンを習っていたあさ美がオルガンで弾いたのは「エルザの大聖堂への行進」というワーグナーの歌劇の曲である。

そのなかを、ウェディングドレスのエマと、麻裃に金銀拵(ごしらえ)の大小を差し、裏朱栗(うらしゅくり)色に沢瀉の金紋を打った反庇(そりびさし)の陣笠をいただき、絹の白緒で顎に締めてあった翔一郎が歩く。

「和洋折衷やな」

一誠が呟くと、

「でも翔さんらしいね」

あさ美は笑った。

その脇を、二人は過ぎて行く。

祭壇の前へ立った。

丸いステンドグラスから、淡い冬の陽射しが射してくる。

二人を照らした。

その明るい輝きの中、これからどういう未来が待ち受けているのかエマには分からなかった。

が。

いつもいつでも、いつまでも翔一郎と生きてゆくのだというような、ある種の武士の覚悟にも似た感懐を、エマは胸のうちに秘めた様子でそこへすっくと立っていたのであった。



(完)