【完】『いつか、きっと』

ハネムーンを兼ねた旅を終えて愛とブラウンの家族が京都へ戻ってきたのは、北野天神のずいき祭が済んだばかりの頃である。

九月の挙式の際には翔一郎が撮影した写真を携えて、ブラウンは本国の親族と対面したようで、

「ヒースローの空港から帰る日、みんなうらやましがって、京都へ行きたがってました」

欧米人にすれば京都暮らしは、ある意味ステイタスのあるものでもあるらしかった。



その頃。

翔一郎は翔一郎で、ちょっとした問題が出来した時期でもあった。

体調が芳しくなかったのである。

時々翔一郎が作業の合間にエマに見つからないように頭をおさえることがあって、

「ねぇ…翔くんってば、お願いだから」

ちゃんと病院行って、とエマは半べそをかいた顔で懇願した。

「…分かったって」

エマに頼まれてはむげにも出来ない。

診察に行くと、

「まず脳を診ましょう」

という話になってスキャンを撮らされた。

しばらくして。

「小さいですけど、脳出血の痕があります」

デカいのが来たら万が一は覚悟しといてください、という診断に、

「分かりました」

面構えは平然たるものではあったが、日頃マイペースな翔一郎も内心は穏やかではなかった。