そんな気がした、なんて後から幾らでも言える乙女の戯言だけれど。


でも、彼のその目に射抜かれた瞬間、そんな気がした。


そして、煩い鼓動とは反対に、何故か酷く冷静に思った。


―――好きだ、と。





「・・・ん、何?」

「わ、あ、すいませんっ。」

彼の声で、意識が戻る。

「もー唯なにやってんの。」

そんな私を指差しケラケラ笑う柚希を軽く睨む。

「うるさいー。」

「あはは、まあ燈夜君イケメンだもんねー。」

燈夜、と呼ばれた彼は呆れ笑い。

「柚希、乗りかえんなよっ。」

心配げにそう叫ぶ朋君。


私、倉糯 唯。

その私の親友、友枝 柚希。

その柚希の彼氏、松月 朋。

その朋君の親友、珠樹 燈夜。

一人身の私を心配してくれた柚希が、同じく一人身の燈夜君を紹介してくれた、と。

ただいま、そういう状況でございます、はい。


あ、後一つ付けたし事。

私、初恋しちゃった、なう。