結局。
あれから授業に出る気になれず、俺はあのまま放課後になるまで踊り場に座り込んでいた。


思わず逃げ出してしまうくらいの酷い命令の後でも、相菜はちゃんと俺の呼び出しに応えるのか。


ボトムのポケットから取り出した携帯で相菜の番号に発信する。


いつもなら10秒もコールしないうちに着信に出るはずなのに、電話に出る気配はない。


そのうち、コール音が留守電の応答に切り替わって……初めて不安というものを感じた。


さっきの昼休みのことで、俺は相菜に愛想を尽かされてしまったのか?


ラブホに傘を持って来させた時だって、その後は今まで通りに俺の命令を聞いてたのに……。


相菜が俺から離れるなんて有り得ないって自信と、笑わなくなった相菜の顔がごちゃ混ぜになって気持ち悪い。