サヤカは左腕にした腕時計を、
指差し少しして口を開く。

「知ってたら…
いつか時間にイタズラした時の様に、
時間を止めてたのにね…」

そう言ってサヤカは哀しい時間と共に、
僕を残して実家に帰っていった。


取り残された哀しい時間が僕を責める。


僕は何も出来なかった。
目の前にいたサヤカすら救えなかった。


テレビの前でニュースに涙する自分が、
馬鹿馬鹿しく思えた。


目の前のモノ何一つ守れないくせして…



空を見上げる。



遠い、遠い…



世界は遠すぎる。
何か一つでも変えられるのなら…


世界を変えられるのなら…
この掌が世界を掴めるのなら。