部屋に入り荷物を置くと、バッグの隣にあるビニール袋が目に入る。



颯太くんの部屋に来る途中、頬を突き刺すような冷たい風から逃れるように歩いていると商店街の店主に声をかけられた。




「お嬢ちゃん、一人?」


「はい。でもこのあと人と会う予定が…」


「じゃあこれ、持ってって!」



そう言って手渡された、ビニール袋に入った二つの肉まん。




「ありがとうございます!」


店主に告げると、満足げに手を振って見送ってくれた。




颯太くんと食べよう。


心の中で思いながら、ここへ来た。