『イロモノなアタシⅡ 小鬼更正計画』

「どうする? 志穂。俺、帰ろうか? 」
「いいよ、泊まれば? こんな夜中に帰るのも大変だから」


聞えて来る米山の高イビキを耳に、話し合いを始めた。


「ねえ、それよりこの間はごめんね」
「え? あ、あの電話? 」
「そうだよ、ちゃんと返事しなくて。局で会った時に謝ったけど、敬介そのまま行っちゃうから」
「そんな事あったっけ? ごめん。俺、最近ネタ考えてばっかりだから。廊下で会っても気付かなかったかも」


天然……。


あんなに悩まされていたのが、まるでバカみたいだ。


「本気で、あの2人と戦おうっていうのね」
「真島がさ、負けられないって言うから」
「手ごわいよ、あの子達は。漫才DNAって恐ろしいと思うもん」


母親も父親も関西切っての大御所、当然、漫才については幼少時から英才教育を受けている。


そんな彼らに、マージナルが対抗できるんだろうかと不安になった。


「大丈夫だよ、ちゃんとネタ考えてるし、デビュー前みたいにケイコだって場所をかまわずやってるんだよ」
「そんなに努力してるんだ……」