向島先輩だ、こんな時間にお客さんを迎えるなんて……。


と思い、すれ違いざまにお客さんの顔を見ると、さっきまで『シャングリラ』で一緒に飲んでいたTVVの山科プロデューサーだ。


自分の部屋に呼んでまで仕事の話をするなんて、やっぱりやり手は違う。


部屋に戻ると、テーブルの上のすき焼きがほとんど消えていた。


「ごめん、お腹が空いてたから全部食べた」
「シホっちが遅いからよー」


そんなセリフ、ゲップをしながら言われても……。


まあ、デブの大好物の肉だから仕方ないと割り切り、シャワーを浴びに行こうとしたら、米山が前に立ちふさがった。


「ちょっとぉー、デザートは? お土産の」


……あの、気が利かなくてすみません。


「今から買って来ます」
「いいよ、俺が行くからさ」
「ナルー、さすがぁ」


やっぱり優しい、って言うか本当にあたし達はケンカをしていたのだろうか? と不思議に思えて来る態度。