それから玄関に、どこかで見た記憶のある靴が。


これは……彼の靴。


「敬介? 」
「遅かったね、志穂。良かったら、一緒に食べようよ」


あのー、何でここにいるのかなー?


しかも、すき焼きなんかしてるし、この夜中に。


「ナルが、私の家に生きたいって言うから、連れて来てやったの」
「ヨネがDVD借りっぱなしで、中々返してくれなくてさー。あ、hanhan、2冊も買ったんだねー」


見られたよ、彼氏の半裸が載ったお宝雑誌。


だけど、それ以前に何か違わないか?


あたし達、ケンカして無かったっけ。


天然って、本当に怖いですね。


なーんて、のん気なコメントをしている場合では無い。


「ちょっと待って! 週刊誌の張り込みの確認して来るから」
「ご苦労様ー」


米山のそっけ無い言葉に見送られ、マンションの外に出ると周囲を確認する。


怪しい車や人影は無い、良かった、今日はノーマークで。


マネージャー根性が先に立って、余計な心配をしたと中へ戻ろうとしたら、オートロックの解錠機の前には先客が居た。


『どなた様ですか? 』


あれ、この声。